妊娠前から葉酸を摂りましょう
2025/01/09(木)
葉酸は、ビタミンB群に分類される水溶性のビタミンのひとつです。赤血球を作るときに必要な栄養素のため造血のビタミンとも呼ばれています。また、葉酸は、赤ちゃんが正常に発育するために重要な働きをします。そのため、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性には、特に大切な栄養素です。
人間を含むほとんどの動物は、葉酸を体内でつくれないため食事やサプリメントから毎日補給する必要があります。
人間を含むほとんどの動物は、葉酸を体内でつくれないため食事やサプリメントから毎日補給する必要があります。
妊娠すると受精卵は、細胞分裂を何回も繰り返し、赤ちゃんとして発育します。赤ちゃんの中枢神経(脳やせき髄)のもとになる「神経管」が正常に形成されるために葉酸は大切なビタミンなのです。実際に、葉酸の摂取が胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを下げることが分かっています。
神経管とは、せき髄や脳の元となる管状の器官で、受精後4週頃(妊娠6週頃)につくられ、 その後、せき髄や脳に発育していきます。神経管が上手く閉じず管状にならない場合には、神経管閉鎖障害という先天性疾患になります。
せき髄や脳の発育に大切な神経管がつくられる受精後4週頃(妊娠6週頃)というのは、予定の月経が2週間遅れている頃に相当します。実際には、妊娠しているかどうかを検査するタイミングは、月経が来ないことで気づく場合がほとんどです。したがって、検査をして妊娠が確認された時には、すでに受精してから、4週以上が経過していることが多いため、神経管がつくられる時期は既に過ぎています。
つまり、妊娠に気づいた時に、葉酸が十分にある状態にしておくことが、赤ちゃんが正常に発育するためには重要なのです。したがって、妊娠前から積極的に葉酸を摂取しておくことがとても大切になります。過去に神経管閉鎖障害を持つお子さんを妊娠されたことのある方はハイリスク群と判断され、医師の管理下で葉酸摂取が必要ですので、妊娠を希望される時点で医療機関を受診してください。
つまり、妊娠に気づいた時に、葉酸が十分にある状態にしておくことが、赤ちゃんが正常に発育するためには重要なのです。したがって、妊娠前から積極的に葉酸を摂取しておくことがとても大切になります。過去に神経管閉鎖障害を持つお子さんを妊娠されたことのある方はハイリスク群と判断され、医師の管理下で葉酸摂取が必要ですので、妊娠を希望される時点で医療機関を受診してください。
葉酸は、ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜や、牛や豚のレバーに多く含まれています。しかし、食品に含まれる葉酸は、熱に弱く、酸素に対して不安定なため調理法や長期保存によって失われやすい特徴があります。そのため、厚生労働省も食事だけでなくサプリメントや葉酸を強化した食品を上手に活用することを推奨しています。妊活中や妊娠初期は、通常の食事から摂取する量に加えて(付加量)サプリメントや食品中に強化される葉酸として400㎍を毎日摂取することが薦められています。
我が国において、当面、通常の葉酸摂取量に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸を摂取することとすれば、神経管閉鎖障害の発症リスクは集団としてみた場合そのリスクが低減されることが期待されるものである。また、高用量の葉酸摂取はビタミンB12欠乏の診断を困難にするので、医師の管理下にある場合を除き、葉酸摂取量は1日当たり1mgを越えるべきではない。
(厚生省児童家庭局母子保健課長,厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課生活習慣病対策室長通知:児母第72号・健医地生発第78号・平成12年12月28日)
赤ちゃんの健やかな成長のためには、ママの健康が大切です。近年ダイエットや偏食などによる痩せの女性が増えていますが、母体の低栄養は早産や低出生体重児のリスクを招くだけでなく、出生後の赤ちゃんの生活習慣病の原因にもなる可能性が最新の研究では示唆されています。妊娠前からビタミンやミネラル豊富な食材を十分にとり、良質なタンパク質や脂質を選ぶなど、栄養素のバランスを考えた適切な食事を心がけるようにしましょう。
疲れた時や時間がない時、また悪阻により十分な食事をとることができないときなどには、無理をせず、市販の総菜やバランス栄養食品などもうまく活用するといいでしょう。
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