巻頭言

公益社団法人 安房医師会

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巻頭言 Vol.50 No.4 2014

2014/07/10(木)

安房医師会理事 杉本 雅樹

 この原稿が紙面に載るころには、ブラジルワールドカップが終わっている頃でしょうか?今回はベスト8以上であることを期待しております。
 日本サッカー界の世界への挑戦とその実績には目を見張るものがあります。なぜサッカー界が着実に進歩していったかといえば、ズバリJリーグ100年構想があるからだと思います。“スポーツで、もっと、幸せな国へ”というスローガンのもと、地域に根付いた地道な活動を行い、住民に支持されているからこそサッカーが発展しているのです。そしてなにより、運営されている方々を中心に、ルールにのっとって健全な活動をしているからこそ成し遂げられるものだと思います。
 さて、安房医師会は新公益法人となり、初めての決算総会が終わりました。(執筆中はまだ終わっていません)今回、若輩者の平理事の私が巻頭言を執筆するという大役をいただいたのは、新しい医師会を内外に示すために必要な事だったかもしれません。
 私は、医師会病院が社会福祉法人太陽会に委譲され、安房地域医療センターとして生まれ変わる過程を経験した、今では数少ない医師会理事の一人です。言い方を変えれば、旧医師会病院時代の安房医師会を経験したことのない新理事の部類に入ります。そして、私を含めて現理事の大半は旧体制を知らず運営しております。 “温故知新“という言葉がありますが、我々医師会理事は、先人の教えを大切にしつつ、新しい発想や、チャレンジ精神をもって未来ある組織にしようと努力しております。執行部はじめ理事の方々は、かなりの時間を医師会運営に費やしております。そんな中、いまだに医師会入会金や運営費に絡む問題で、理事会のかなりの時間を使っていることが現状であります。
 私たちは新公益法人を運営する立場として、会員の皆様に対し、面白くない話をしなければならない時もあります。有名な言葉に、“過去は変えられないが、未来はすぐにでも変えられる”というものがあります。安房医師会が未来永劫存続するために絶対に必要なことは、不公平感のない、常識的な細則の上に、会員一人一人が、謙虚に協力していくことと信じております。
 医師会は会員一人一人の心の支えみたいなものです。医師会病院がなくなった今となっては、行政との連携を密にして、よりよい地域を創り上げることが求められているような気がします。小嶋会長のもと、我々安房医師会は一丸となり、医療という専門性を持って、地域の発展に尽くしていければと考えております。
 まだまだ若輩ものではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。


巻頭言 Vol.50 No.3 2014

2014/05/10(土)

安房医師会会長 小嶋 良宏

 暦の上では晩春の今日この頃、朝夕には寒い日々がまだまだ続きます。この医師会ニュースが皆様のお手元にわたる頃、日中の日差しによっては半袖のシャツやパステルカラーのワンピースなどを着る初夏の気候でしょうか。
 昨年6月より新体制の理事会となり、皆様のご協力、ご支援の元、医師会理事会活動は軌道にのりつつあります。理事一人一人の裁量権や個性を尊重、活気ある理事会と思っております。
 懸案事項は多少ありますが、この先一つ一つ粛々と解決していく所存です。
 昨年12 月に審議された事項において、会員の方々に混乱を与えた事項について記します。
 県教育委員会より近隣の安房高校、館山総合高校、長狭高校、安房拓心高校、安房特別支援学校の校医を医師会として推薦するよう文書が届きました。
 理事会にて審議、新公益法人になった今、公正、公平の観点より公募することと決定されました。
 その公募文書の記載に、「健康面等で無理をなされない様に配慮して戴きたい」という文言があり、それによっても多くの会員の方々に混乱を招きました。
 その後、健康面云々という文言は撤回するよう指示、応募された候補者を慎重に審議し、校医を決定いたしました。
 今回の反省するべき点は以下の3項目です。
1、 募集締め切り日が差し迫っており、その人選を焦ってしまった事。 2、 公募という選び方自体を十分に周知しなかったことによって混乱を招いた事。 3、 公募の文書に、健康面等で無理をなされない様に配慮していただきたいという文言があり、さらに混乱を招いた事。
 多くの会員の方々にお詫び申し上げますとともに、以上を反省し、今後は行政その他からの担当医師推薦があった場合、募集方法やその決定についてより慎重に対応するようにいたします。
 今回の公立高校の校医を公募し、県に推薦するという理事会決定を受け、その整合性、公平、公正を保つため、その後の県出先機関の嘱託医、市町の保育所の園医、小中学校の校医の推薦においても公募を行いました。
 医師の推薦の依頼があった場合に公募を行う事自体は公平、公正を保つ意味では何ら問題ないと考えますが、今回はその実施方法を誤りました。
 あくまで新公益法人となった今、会員間での公平、公正を目指すために行った行為であり、今後もそのような募集方法を多用する事をご理解いただきたいと思います。
 この先、新しい事や過去からの前例を覆すことを実施する場合には、アンケートや周知文書を早めに会員に配布し、混乱を招くような事は極力さけるよう務めます。
 また、理事会において様々な意見を述べる理事の発言に耳をかたむけ、より深く議論、採決をも慎重に実施したいと考えます。
 まだまだ未熟な理事会ですが、会員の方々からの叱咤激励のお言葉、多少の御協力、多大なご支援をお願いいたします。


巻頭言 Vol.50 No.2 2014

2014/03/10(月)

安房医師会専務理事 青柳 和美

 弱冠30 歳のリケジョ・小保方先生が、STAP 細胞を発見し、マスコミで話題になっております。ヒト細胞でも同じ現象が起きれば、ノーベル賞も夢ではないと言われており、STAP 細胞作成の簡便さから、山中教授のiPS 細胞を凌ぐのではないかとも考えられております。
 かく言う私も、昔(20 数年前)、ラット胎児組織を使った膵β細胞発生研究に携わっており、実はスウェーデン留学中に、STAP 細胞の存在を仮定していれば、今なら説明できたかもしれない奇異な現象を経験しております。勿論、能力のない私には、それを解決する術もなく(突き詰める面白さも理解できませんでした)、学会で発表はしましたが、誰にも相手にされず、論文にもしていません。もしかして、大発見の種はいつも我々の身近にあるのに、気づかずに通り過ぎているのでしょうね。
 小保方先生のような、研究に対する熱意と根性です! iPS 細胞発見から、発生学の世界は驚くべき早さで、一段と躍進しております。
 これからの治療医学は、現在の対症療法から根治治療に移行していくのかもしれません。我々診療所医師もそれに取り残されないように、勉強していかないと、50年後、医師会は、人気テレビドラマ(漫画)『JIN - 仁-』の幕藩体制から脱却できない御典医集団になってしまうのではと危惧するのは私だけでしょうか?医師会組織も、学問のみならず、同時に新たな医療改革に積極的に関わって行く体制作りが必要かと思われます。
 さて、話は変わりますが、今回は、館山市が行なっている『ふるさと納税』について、ご紹介したいと思います。『館山市ふるさと納税』は、寄付金を使う事業がより具体的に示されている事が、これまでの他市町村で行なっている一般的なふるさと納税と違うところです。現在、指定事業は、『15.指定事業なし』を含め、15 項目となっておりますが、『14.コミュニティ医療推進に関する事業』にご寄付をいただければ、この寄付金に関しては、市健康課が『コミュニティ医療推進基金』として、直接管理するため、医師会としても、より行政と密接に、より具体的に市民健康を考えた地元住民に有益な事業を立ち上げる事ができるかと思います。これまで、行政サイドも新たな医療関連事業を立ち上げるためには、周到な準備が必要な事や、予算の制約等から、腰が重くなかなか動けなかったのも事実かもしれません。医師会員の皆様から寄付される『コミュニティ医療推進基金』が潤沢になれば、従来よりも円滑に、早く新事業を立ち上げられるものと期待しております。この新事業が、うまく機能・運営できれば、次年度には、本予算として計上して、市の大きな事業としてもらいましょう。これが、安房3 市1町全体の医療政策の向上にもつながる事と確信しております。
 さらに、館山市在住の医師会員の皆様も、お納めいただいている市県民税の一部を『ふるさと納税』として館山市に寄付することも可能になっております。比較的納税額の多い会員にとっても、税金の使い道が分かる(自分の意志を反映できる)は、良い事ではないでしょうか? 勿論、会員が寄付された『コミュニティ医療推進基金』が、医師会の別の財布になるなどとは、呉々も、お考えなきようお願い申し上げます。悪くみると、『トンネル事業』『迂回献金』等とも誤解される可能性もありますが、館山市側とも協議を重ね、これらには当たらない事も確認した上で、安房医師会理事会では、『館山市ふるさと納税』を支援しようと決議いたしました。なお、納税額については、個々の会員でその寄付金額が変わってきますので、税理士等とご相談下さい。是非、『館山市ふるさと納税(寄付)のお願い』のパンフレットをお取り寄せいただき、会員の皆様のご協力を心よりお願い申し上げます。
 将来的には、国税においても、納税額の数パーセントは、納税者が希望する政策に税金を使えるようなシステムを作ってくれると、進んで納税したいとの気持ちも芽生えてくるのではないでしょうか? 例えば、政府が20―30 項目くらいの大きな政策を提言し、それに対し、納税者が納税額の3−5%(新たな増税分)くらいは、希望政策に使えるように納税する。今マスコミは、各社莫大な経費を使いながら、『国民は何を望んでいるか?』なんていうアンケート調査をしていますが、そんな方法よりも、もっと直接的に国民の希望を反映するのではないかと考えます。こんな納税の仕方はどうでしょう? 喜んで納税する気持ちにはなりませんか?
 最後に、現在、安房医師会は一部の会員から訴えられ、係争中です。新公益法人となり、これまで、ずっと解決できずにいた医師会入会金問題を解決するべく、前間宮会長、現小嶋会長が苦渋の決断をされた訳ですが、誠に残念な結果になってしまいました。最終的には、どう収まるのかは未定ですが、この小さな安房医師会の会員の皆様と、歪み合う事なく、仲良く、風通しのよい医師会になるように微力を尽くしたいと考えております。


巻頭言 Vol.50 No.1 2014 新春初感

2014/01/10(金)

安房医師会会長 小嶋 良宏

 先生方におかれましては、正月休みを健やかに過ごされ、日常診療に励まれている頃かと存じます。
 多くの人々、また自分にとっても新年を迎え心躍り、事の大小の差異はあるかと思いますが今年一年の計画や目標などを考えていることでしょう。
 昨年は旧看護学校駐車場を売却、数年前からの懸案事項の処理にも目星がついてきた今、来年度への思いを4項目にしぼり記します。
 いわゆるABC 検診を数年後に実施したいと考えます。解説するまでもなく胃がん検診の新たな方法であり、より効率よく、より高精度に検診を行う一つの方法であります。昨年11 月、この方法を住民検診に取り入れたいと考え、館山市長、市議会議員、実務担当者との勉強会に参加したところ、多くの方々の賛同を得ました。その実現の為には、医師会内部での調整だけでなく、行政内、実施医療機関内の調整が必要であり、さらにその3者との調整も必要であります。解決するべき問題点は山積みではありますが、医師会としては今後、より良い検診システムを目指し、会員、行政や実施医療機関である安房地域医療センターと協力しつつ地域住民の健康医師の為に役立ちたいと考えます。 多くの地域において看護師不足が叫ばれ数十年たちます。この地域においては安房医師会准看護学校の閉校、館山準看護学校の閉校があいつぎ、看護師不足に拍車をかけることとなってしまいました。幸いにも亀田医療大学が開学、今春には新たに亀田医療福祉専門学校が開学する予定であります。卒業生が出るのは数年先ですが、看護師不足解消の糸口となるはずでしょう。医師会としては看護師養成機関を少なからず支援し、看護師不足対策に貢献していく必要性があると考えます。その支援方法は、医師会からの奨学金交付も一つの方法ですが、医師会財政状態が困窮しており医師会単独では経済的にも無理があるため、より綿密な計画を立て、行政とともに支援システムを構築、看護師不足解消に役に立ちたいと考えます。
 数年前から総会で事業計画として上程している新医師会館設立の件ですが、会館設立準備委員会なるものを立ち上げ検討していきたいと考えます。幸いにも新塩場の土地が駐車場として現在活用中ですのでその土地を利用するかもしくは他の土地を購入し建設するのかどうか?また、私案ですが館山市にお願いし、市役所内に医師会事務局を間借りする案も考えております。メリットとしては我々が行政とすぐに相談事ができる、また市役所を訪れる地域住人においても医師会事務局が隣接していれば各種相談事の窓口ともなり、貢献できうると考えます。新塩場の土地を利用するのが経済的にも負担がありませんが、少々土地が狭いため駐車場用地が不足する懸念もあります。新たな土地を購入するには経済的には無理が有りますが、多くの問題に対処し、まずは設立委員会を立ち上げ、協議し、身の丈にあった新会館設立を目指したいと考えます。
 この地域の老年人口比率は優に30%を越え、今にも40%に届かんとしている状態です。御老人が増えれば当然の事ながら認知症の患者さんも増えると予想がつきます。昨年秋、認知症関連の学術講演会が開催され、東京医大の実例が示されました。この地域でも認知症対策を早急に押し進め、医師会、地域包括支援センター、会員の施設を結ぶネットワークを構築し、早期発見、早期治療を目指したいと考えます。
 昨年末の出来事でありますが、多大に尊敬し、信望する方から助言をいただきました。彼は先輩医師として、また人間的にも魅力があり、時に意見を聞いていただいたり、頼りがいのある人物です。その彼から、「些末な問題に煩わされて本筋の仕事に支障があってはならない」と。はっと閃光を浴びたように目が覚めました。昨年はあまりに直近の問題解決に振り回されていたかもしれないと。多くの皆様のあたたかい御協力、御支援に感謝しつつ、新年度はすぐそこにある問題に対処するだけでなく、遠い未来の医師会像を考え実践していきたいと思慮を馳せる、あたたかい春が待ち遠しい冬の寒風吹きすさぶ晴天の毎日です。


巻頭言 Vol.49 No.6 2013

2013/11/10(日)

安房医師会副会長 清川 恒

 2020年、東京オリンピック夏季大会開催が決まった。アルゼンチンで開かれたIOC総会で、日本の招致委員がスピーチを行ったが、私の一番のお気に入りは滝川クリステルのスピーチだ。フランス語は理解できないが、美人の口から流れる、耳に心地よい言葉の流れ、そして締めくくりの言葉。「お・も・て・な・し」笑顔・合掌。これで東京オリンピックが決まった!と思っている。49年前の第18回東京オリンピックの時、都内文京区に兄と下宿していて、開会式の日、下宿の物干し場でジェット機の描く五色の五輪を兄と一緒に見上げていたのを覚えている。当時の東京の情景は映画「オールウェイズ・3丁目の夕日」に克明に描かれている。あの街並みが科学技術の発達により、今や超近代的な街並みに変貌している。
 振り返って、我が房州は少子化に超高齢化社会、街並みはシャッター街、空き地と駐車場通りに人の姿が見当たらない。活力の衰えた地方都市によく見る情景。房州はどう変わったら良いのか。老人パワーを積極的に活用する場に活路はないだろうか。 2度目の理事に就任し、13年振りに理事会に出席している。
 医師会病院・看護学校が無くなり、関連事業も減少大分仕事量が減ったと思っていたが、報告事項・協議事項は昔より増えていた。社団法人から公益法人に移行した事により、定款・細則を変更した。組織の基本ルールを変更したのだが、色々の考え方があり、100点満点のルール作りは困難であろうが、納得出来る物を目指して定款・細則検討委員会が立ち上げられている。社団法人時代の定款にも不備・盲点があり、改訂が行われていた。しかし大切なのは不備・盲点を改訂しても、このルールを忠実に、確実に、迅速に実行することだ。過去の医師会にはこの点に甘さがあったと思う。また医師会入会時点で入会希望者に定款・細則の説明をし、周知徹底を図る必要が有ると思う。今後、更なる高齢化社会を迎え既存医療機関のクリニック開設や、未だ、ルールの出来ていない医師の常駐する老健施設の進出に対しての対処法も検討しておく必要が有る。これらの問題も含めて公益法人としての基本ルールを作り上げていきたい。不幸にして考え方の違いからトラブルに発展してしまった事例も、何とか折り合い点を見つけ人間性善説の主旨のもと円満に解決し、風通しの良い和やかな安房医師会にしたいと思う。


巻頭言 Vol.49 No.5 2013 所信表明

2013/09/10(火)

安房医師会会長 小嶋 良宏

 安房医師会理事会の新体制発足後、早くも2ヶ月が経ってしまいました。
 遅ればせながらこれからの会務のあり方、懸案事項などについて記載いたします。 医師会運営の大原則は、“和を以て貴しとなす”との如く、役職員との和であり、役員一人ひとりの能力、個性を最大限尊重し、全員一丸となって諸問題を解決して行く所存です。我々14名の理事は、利己の満足や名誉などのために役職に就いた訳ではなく、地域住民の健康維持・増進に役立つ様、会務の運営を行い、将来を見据えた方向性のある活動をその目標としています。
 下記は箇条書きになりますが、今後の方針について記載します。
1、協議事項に関しては、定款や細則に沿って粛々と決定していくのが基本であり、その決定に至る方法は合議であると考えます。理事一人ひとりの声に耳を傾け、意見や考えを十分聴き、皆で考えた上で、決断・実行に移して行きます。
2、各理事にある程度の権限を委嘱します。理事の責任において諸問題を解決、実行していくという方法を考えていますが、計画段階とその結果は理事会に報告しなければなりません。
3、困難な問題に直面した場合には、諸先輩方をはじめ行政、弁護士、税理士等の各専門家にも相談し、皆で力を合わせ、問題解決を図ります。
4、報告事項、協議事項ともに可能な限り文章として記録を残します。将来、同じような問題が起きた際、我々がどのように考え、対処・解決したのかを記録し、参考とすることが重要であると考えるからです。
5、理事の分担に関しては、一人の理事に負担がかからないよう複数の理事が担当する部門も作りました。保険福祉部門、介護在宅部門、広報部門、救急災害部門、学術振興部門、地域医療部門の6部門です。正副の理事が協力しあえば個々の負担も少なくなりますし、良い考えも浮かんでくることでしょう。
6、“和を以て”との例えは、役員だけではなく、すべての医師会員、行政の方々や関係諸団体等の方々、そして地域住民との“和”で無くてはなりません。和を以った強固な連携で“地域の健康”を守って行きたいと思います。
 今後の懸案事項ですが、大きな課題としては、医師会本会の財務状態改善、新医師会館の建設などを考えています。さらに安房医師会として何らかの特色をも出したいと考えています。具体的には、予防接種や疾病の無料相談会、地域ごとの健康増進教室などです。インターネットを利用した幅広い情報発信も必要かと思います。
 過去に何度か巻頭言にも書かせて載きましたが、会員の皆様ならびに関係諸氏との連携、御協力・御支援なくして安房医師会の更なる発展は望めません。従前にも増した御指導・御鞭撻をお願い申し上げます。


巻頭言 Vol.49 No.4 2013

2013/07/10(水)

安房医師会前副会長 小嶋 良宏

 数年前からの懸案事項であった新公益法人に認定され早くも3ヶ月経ちました。 会員の方々には総会や医師会ニュースを通じ、公益法人について何回か説明をしてきましたが、ここで公益法人と一般法人の違いや、公益法人の基礎事項について、会員として知っておきたい最小限の事項のみ復習してみたいと思います。 我々が選択した公益法人と一般法人との違いは、大きな解釈として、公益法人は世のため人のための活動を重視、広く社会に対し貢献していく事を理念とし、一般法人は共益や営利、柔軟な事業活動を重視するものであります。
 おのおのの認定、許可基準ですが、公益法人は、公益目的事業比率が50%以上、経理的基礎および技術的能力を有し、法人関係者に特別な利益をあたえないものであり、認定が必要となります。一般法人は個々の法人が作成した公益目的支出計画について適正であり、かつ確実に実施されるとみこまれるものであり、許可が必要であることです。
 メリット、デメリットについては、公益法人は社会的信用が高く、事業制限、財務的な制限の存在、行政の監督が永遠、広い情報開示、税制や寄付行為に対しての優遇、一般法人はこのほぼ逆と考えます。
 公益認定には18項目の基準が存在し、これを満たさないと認定は受けられません。18項目すべてを列挙しませんが、大事な項目は公益目的事業を行う事を主たる目的とするものであり、その解釈は1、基礎的経理として、財務状況が健全、財産の管理、運用については理事が適切に関与し、情報開示が行われている事。
2、技術的能力があり、事業を実施するための技術、能力を持つ人材、設備などを有している事。
3、財務基準として、公益目的事業比率が50%以上あり、決められた以上の遊休財産が無い事。
4、理事、法人の関係者に対し、特別な利益供与が禁止されていることであります。 以上の条件は公益法人取得時だけでなく、今後もこの条件を満たす必要があり、もしも数年間に渡り条件が満たされないときには、解散させられる事もあります。

 理事選挙については6月に行われる総会で経験いたしますが、行われた総会で経験していますが、総会では理事を選定し、代表理事選定理事会において互選により代表理事(会長)、業務執行理事(副会長、専務理事)を選任する方法にかわっています。
 また、総会での決議事項は大きく分けて普通決議と特別決議の2種類があり、普通決議は、2理事、監事の選定、選任や貸借対照表、損益計算書の承認などであります。
 特別決議は社員の除名、監事の解任、定款の変更、事業の譲渡、法人の解散、継続などがあり、総社員(会員)の半数以上が出席し、総社員の議決権の3分の2以上の多数により決議することとなっています。
 今後、法律に則って公益法人の運営をしていくにあたり、理事会は今迄以上に気を引き締め正しい行動を、会員の方々にはさらなる御協力をいただきたいと考えます。
 最後になりましたが、公益法人取得に関し多大なるご尽力を頂きました方々にこの場を借りて御礼申し上げます。


巻頭言 Vol.49 No.3 2013

2013/05/10(金)

安房医師会専務理事 青柳 和美

 政治の世界では、TPP交渉参加が決定され、医業界においても大きな影響が予想されます。第2の黒船来航に例える評論家もいますが、既得権を守るためだけに何でも反対(TPP反対)という姿勢は好ましくないと考えます。医師会も古い体質を変えていかねばならないし、地域医療提供体制、すなわち、『真の住民と医療のあり方』についても考え直さなくてはならない時期に来ていると思われます。安房医師会も平成25年4月1日から公益法人となり、これまで以上に地域医療に責献していく責務を負うことになりました。
 厚労省の試算によると、14年後(2027年)から我が国の死亡者数はピークを迎え、現在の2倍となります。しかし、ベット(病床)数の増加は見込めず、地域によっては半分の人が在宅死、最悪の場合は路上死なんていうこともありうると思われます。一方、安房地域に関しては、人口が少ないことと、現時点からの高齢化が幸いして?、急激な死亡者増加はなく、今後14年間も現在と同じで、年間約2,200人程度の死亡数が続くと推定されています。従って、今ある医療機関が、14年間存続すれば、数字上では今と同じ医療を継続できることになります。しかし、需要と供給の関係から、医療関係者もどんどん都会に流れてしまうかもしれず、当地域でも、ベット(病床)数維持ができなくなってくるかもしれません。現在千葉県における幽霊病床(医師・看護師不足等により、病床を利用できない)数は、2400床を越えると聞いております。安房地域の病床数と医療機関数が、今後減らないことに期待します。14年後の私と言えば、生活習慣病の専門クリニックを開設していながら、自己健康管理のできない院長は76歳。認知症も加わり、医療者としては全く役に立たない存在となっているかもしれません。医師会の先生方も、健康に留意し、後世を守るつもりで、次世代の若い医師や医療スタッフを育てていくように、ご尽力をお願いいたします。また、行政の方々にも、この地域出身の医師、医療従事者には、地元に戻って来てもらうように、あらゆる手段を使って、働きかけをお願いいたします(手段は問わない!)。将来のこの地域の健康、並びに、医療充実を考えるならば、決して無駄な出費(税金の無駄使い)とは思えません。
 平成22年12月時点での『人口10万人に対する医師数』は、全国平均が219人、千葉県は164人で全国45位(最後から3番目)にランクされます。一方、安房地域は380人(千葉市内261人)と全国でもトップクラスの医師充足地域であると言えます。これは勿論、亀田病院(亀田グループ:鉄蕉会、太陽会)という大きな病院の存在があるからであります。亀田病院がなければ、安房地域は、逆に、全国有数の医療過疎地域になっていたのかもしれません。亀田病院では、既に将来を見据え、医療看護大学や医療看護学校の開設等の対応を進めてきています。しかし、残念ながら、この地域で働く全ての医師の集合体であるはずの安房医師会では、その具体的な対応策が、まだ充分には協議されていないのが現状であります。個々の医療機関それぞれに事情はあるかもしれませんが、亀田病院、館山病院、国保病院、この地域の多くの病院にも、是非ともご協力いただき、安房医師会としては、行政と強く連携して、この急難(2027年問題)に対処していくべきであります。開院6年。医師会理事となって2年目に、医師会専務理事(総務)という大役を仰せつかり、この1年間職務についてきました。自分の能力のなさ、並びに、これまでの医師会の歴史も知らずに働いて来たことで、過去の総務担当理事の様に働くことができずに、医師会員・役員の皆様にはど迷惑をかけて来たことも多々あると思います。この場を借りてお詫び申し上げます。この1年間、常に『医師会とは何ぞや?』と考えながら、職務に臨んできました。最近は総会への出席者も少なく、もはや、昔の政治的圧力団体のような医師会の使命は終わりました。新たな、医師会を構築しなければなりません。平成25年3月の安房医師会会員総数は283名、そのうち、勤務医会員202名(亀田病院:144名)の構成(勤務医71%)になっています。医師会勤務医の先生方にも、どんどん医師会にご参加いただき、積極的に意見を述べていただきたいと思います。今後、個人的には、勤務医が地域医師会会長になってもよい時代とも考えます。『全国トップクラスの医師数充足地域』 =『全国トップクラスの真の医療充実地域』になるべきではないでしょうか?過去には、総合健診で全国的にも有名な安房方式を成し遂げた安房医師会です。地域医療充実のための新たな安房方式を立ち上げようではありません


巻頭言 Vol.49 No.2 2013

2013/03/10(日)

社会保障制度で人は幸せになれるのか
~武士は喰わねど高楊枝~

安房医師会副会長 原 徹

 昨年末の衆議院の選挙では12 にも上る政党から施政方針が挙げられましたが、社会保障制度の在り方に関する論点は十分とは言えない状況にありました。長引く経済不況に加え大震災からの復興という喫緊の目標が加わった現在、社会保障に関する具体的な施策は昨年8 月10日に成立した「社会保障制度改革推進法」等に沿った形で安倍内閣が実行して行かなければなりません。またこの推進法だけでなく、社会保障と税の一体改革に関連した法案は既に15 件も成立していますが、このうち13 が社会保障に関連するものとなっています。ところで皆様はその内容をご存知でしょうか?私自身、消費税の増税やTPP の事ばかりが気になり、国の社会保障制度の在り方を真摯に考えることが些か疎かになっていたと反省しています。翻って社会保障制度を担うのは公助だけではなく、互助による年金・保険制度がその根幹を成しています。
 社会保障制度の中で大きなものは公的年金制度と共に医療・介護保険制度であり、さらには福祉分野での公的扶助(公助)の問題も重なり、社会保障と公費負担の根本的な問題へと発展しています。ところが最近、相互扶助(互助)と公助の区分けが極めて曖昧な状況にあります。既に基礎年金の1/2 が公費負担となり、医療保険でも市町村国保の約半分が保険料では賄えず公費負担、介護保険では初めから財源の半分が公費となると、「拠出を前提とする互助=保険方式」なのか、「税による公助=税方式」なのか訳が解らなくなってきているのが現状です。
 一方、給付を受ける側としては“困っているのであるから財源は兎も角、直ぐにでも支給を行うべき”との要求が生じます。さらにこの“困っている状況” を客観的に判断することが極めて難しく、健康で資産があっても不安・不満を覚える方は少なくないのも現実です。一方、政府の文書にも安全だけでなく「安心」が最近やたらに目に付きますが「安心や満足」は感情的な個人の問題であり、現実の社会にこの観念を持ち込む事は些か問題があると感じています。然し各種の安心を売る民間保険が市場を拡大している現実は「人間は理性より感情によって動く存在である。それゆえ人間社会は脆いものである」ことを証明しているとも考えられます。この様な感情過多に流される民主主義の到達点は個人主義と物質主義であるとも言われており、これに対峙するには各職域の専門家が権威を回復し、真のプロフェッショナリズムを発揮することにより教育指導して行くしか無い様に感じています。
 ところで我が国には“武士は食わねど高楊枝”=「困っていてもなるべく他人には迷惑を掛けず、自助を基盤とする。忠義・滅私奉公という責務の代償として保護・救済を受ける仕組みが成り立たなくなっても強い自負の念を保つ」が在りました。勿論これを現在に適応する訳には行きません。歴史的には産業革命後に、“搾取する者” が封建体制下では考えられない程、多数生まれ、貧富の差が“目に見えて拡大” したこと。また“個と生命至上主義を尊重する思想” が主流となった事により様々な社会問題が発生し、封建体制下での相互扶助の形態に代わり、共済組合・友愛組合・協同組合・労働組合などの“集団的な自助” を目的とする様々な団体が出来上がりました。然しこの様な団体は厳格な規則と組合費などの一定の拠出や組織活動への参加を義務付けることが原則であり、その代償として疾病・死亡・失業・老齢などを対象にした給付を受けるものであり、この対象も限定されたものでした。即ち義務の見返りとしての給付が基本でした。一方、我が国では敗戦後の社会保障制度構築の過程で保証の対象を“全ての国民”とする国民皆保険制度をその目標とした為、諸外国に較べ医療は公的なものとの認識が強くあります。これは戦勝国である米国の指導も強く影響したものであることは否定できず、共産主義と資本主義の対立の中で、資本主義体制下にあっても“富の再分配による弱者救済” が可能であることを実践したものと理解できます。その結果、医療は全国どこでも適切な医療が受けられることが国民の権利であるとの認識が共有され、昭和36 年には皆保険制度が構築されました。そしてこの保険制度は給付内容の質、費用対効果を勘案しても極めて有効な制度であり、世界に誇るべき偉業でもあります。然し顔の見える互助の比率が減り、公助の比率が増すに伴い、被保険者の権利意識が強まり、ともすると医療に関する不安や不満が強く出される結果を招き、何よりも義務が何時の間にか見え難くなり、公的医療保険の存続も危ぶまれる状況に陥ってしまいました。今こそ公的医療保険の意義、価値を国民により理解して戴き、これが存続できる様、我々医療に携わる者が真のプロフェショナリズムを発揮し尽力すべき時ではないでしょうか?ドイツでは医師会が自治権を持ち、地域毎の医療施設や医師の配置、病床数などを決めています。その権利を執行するには医師一人一人の義務・責任が当然問われるものです。
 安房医師会は開業医の利権保護の為に在る組織では無く、安房地域に為すべき医療保健・福祉政策を考え、実行にも携わる専門家集団であることをその存在目標として戴いています。県下の医師会では初の公益法人認定を受けることが叶った今、本会の精神基盤として“武士は喰わねど・・” の思いを忘れずに歩んで行きたいと思います。


巻頭言 Vol.49 No.1 2013 年頭初感

2013/01/10(木)

安房医師会会長 間宮 聰

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 民主党の野田総理大臣が3党合意の際に約束した「近いうち解散」を有言実行したため師走の衆議院解散となった。国会議員の離合集散が見られ少数政党の乱立で、有権者にとっては選択の難しい選挙となった。
 平成24年11月3日に千葉県医師会医学会、第13回学術大会が開催された。メインテーマは「在宅医療~これから迎える超高齢化社会~」と題して5人のシンポジストによる発表があった。厚生労働省の「2011簡易生命」によれば、日本人の平均寿命は男性79.44 歳、女性85.90歳であり、男性は世界8位、女性では世界2位の長寿国である。日本人の平均寿命は全ての癌が治せるようになったとしても、今後の平均寿命の延びは3年以内だという。もう日本人の長寿化は限界に近くなってきた。千葉県は全国2位の高齢者人口の増加率を示し、安房地域は県内でも高齢化率の最も高い地域である。診療所の外来利用者数は長期処方が増えたことや不景気による受診控えにより減少していくが、高齢者人口の増加により入院が必要な患者は増えていくことが予測される。しかし、それに必要なベッド数の増加は望めないので、入院適応があっても入院できない状況が確実に増加していく。ゆえに在宅での療養患者の診療や看取りが増えていく。昭和20年代は8割が在宅での看取りであったが、現在は8割以上の患者が医療機関で死亡し、自宅で最後を迎える方は1割程度である。少子高齢化のため最近の外来受診者は高齢者が多く、子供が少ない。社会状況の変化もあり、患者自身の意識や家族の要望も入院ではなく、自宅での療養や最後を迎えたいと希望する方が増えてきたように感じる。マスコミの報道によれば、8割以上の方が自宅での最後を希望しているという。私は2年前から寝たきり患者の訪問診療に力をいれているが、訪問診療や訪問看護を導入している人は特にその傾向が強い。往診のため患家に出向けば患者さんの生活状況や家族構成、看護にあたっている家族の状況がよくわかる。それは治療方針の決定に役立つ。在宅での療養には患者、家族にとって心配や不安が付きまとう。そこを何とかしてあげるのが「かかりつけ医」ではないだろうか?
 厚生労働省は在宅医療の推進が今後の医療体制の重要な基盤として、診療報酬制度上で優遇を与えている。団塊の世代が平均寿命に達するまでの今後20年間を見通し、かかりつけ医が在宅医療を往診や訪問診療で支えていくべきであり、その体制をわが医師会は早く築くべきと考える。そのために、会員の皆さんには、外来診療中心から視点を変えて、往診や訪問診療を行っていただきたい。我々がまず在宅医療を始めなければ、看護や介護との連携が進まない。医師1人では負担が重い。そのため安房医師会会員は、病診連携や診診連携を進めていくべきだ。そして行政や介護に携わる全ての職種を巻き込んで、安房地域の在宅医療を確立していこうと考えます。